難民を受け入れるヨーロッパ。
UNHCR
1951年の「難民の地位に関する条約」では、
「人種、宗教、国籍、政治的意見やまたは特定の社会集団に属するなどの理由で、自国にいると迫害を受けるかあるいは迫害を受ける恐れがあるために他国に逃れた」人々と定義されている。
今日、難民とは、政治的な迫害のほか、武力紛争や人権侵害などを逃れるために国境を越えて他国に庇護を求めた人々を指すようになっている。
また、紛争などによって住み慣れた家を追われたが、国内にとどまっているかあるいは国境を越えずに避難生活を送っている「国内避難民」も近年増加している。
このような人々も、難民と同様に外部からの援助なしには生活できない。
適切な援助が実施できなかった場合、これらの人々は国境を越えて難民となり、結局、受け入れ国の政府や国際社会は、より重い負担を強いられることになってしまう。
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サルでもわかる難民問題
http://www.jca.apc.org/unicefclub/unitopia/1997/refugee.htm
B、日本の難民保護
1.難民認定制度
1981年、日本は「難民の地位に関する条約」に加入しました。
日本政府がこの条約に加入したのは、ベトナム戦争が起こったためインドシナ難民と呼ばれる難民が発生し、その人々がボートピープルとして日本に殺到していたことへの対応を迫られたからでした。
そして、1982年、出入国及び難民認定法が発効しました。
日本に在留する日本国籍を持たない人は、法務大臣に対して、難民申請を行なうことができます。
難民として許可された場合は、在留許可をもらえ、保険に加入することもできるようになります。
不認定の場合、法務大臣に異議を申し立てることも可能です。
2.難民認定制度の問題点
このように「殻」は整備されたのですが、問題となることがいくつかあります。
最初にまず感じることは、難民認定数が少なすぎる、ということです。
最近では年に1人~3人程度しか認定していません。
もちろん状況はまったく異なるのですが、ベルギ-などでは毎年何千人の難民認定を行なっていることから考えても、少なすぎると言っていいのではないでしょうか。
次に具体的な難民申請をする段階での問題と思われることを考えてみたいと思います。
*難民申請を受ける権利が保障されていない
これには情報入手が難しいということが、まずあげられます。
これに関連することでもあるのですが、入管法に60日ル-ルというものが定められています。
このル-ルは申請は「日本に来てから60日以内」または「日本には来ていたのだけれど、例えば母国で内戦が起こって、帰れない、とわかってから60日以内」にしなければならない、というものです。
情報、資料不足ともからんで申請者は、たびたびこの規定に引っかかり、門前払いされ、強制送還されることがあります。
*過度の立証責任
例えば、政治的迫害などを理由として亡命し(亡命者も難民の一種です、念のため)、日本で難民申請する場合、母国での逮捕状などの物的証拠が必要となります。
しかし、とるものもとりあえず命からがら逃げ出してくる人々がそのような物的証拠を持ってくるでしょうか。
UNHCR(国連難民高等弁務官)では、本人の主張、という主観的な要素と、母国の状況、という客観的要素の二つを考えて、難民認定するべきだ、と主張しています。
*異議申し立て制度
難民申請が却下され、不認定になった場合、再度の異議申し立て制度、というものが保障されています。
しかし、異議申し立ては不認定の決定から7日以内になさなければなりません。また、認定の判断をするのも法務省の管轄である出入国管理局であり、再度の認定の判断も法務省(法務大臣)によってなされることを考えると、最初の決定が覆されることはほとんどない、といっていいのではないでしょうか。実際、異議申し立てが功を奏したのは、出入国管理法ができてからの16年間で、1件しかありません。
*入国管理局の姿勢
入国管理局は秘密主義的な対応をとっています。
誰が申請していて、誰を、どのような理由で、どんな手続きで、認定しているかなどはまったく明らかにされていません。
また別の問題ともなりますが、入国管理局収容所内での暴行事件も同じような秘密主義の現れとして見ることもできます。
その他、認定・不認定までの期間が長い(2年はざらといわれます)ことや、申請中に強制送還させられることなどの問題点も指摘されます。
3.日本政府は
日本政府はUNHCRに世界2位のお金を供出しています。また執行委員会の一員として、「国際貢献」をアピ-ルしています。
しかし、内部、つまり当の国内では難民を保護しているといえるのでしょうか。
国内の難民も国外の難民も同じなのではないのでしょうか。
ここには金は出すが、手は汚さない、という日本政府の意向が顔を出しているような気がします。
このような体質はこの問題以外でも随所で見られます。この体質を直さない限り、現在の世界では「国際貢献」として認めてもらえないのではないでしょうか。
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