2013年1月30日水曜日

アルビノ(先天性白皮症)


ナショナル・ジオグラフィックより
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/Cultures.html






タンザニアで続くアルビノ狩り


タンザニアでは、皮膚や毛髪、目のメラニン色素に欠乏をきたす遺伝子疾患、すなわちアルビノ(先天性白皮症)として生まれることは、死刑宣告を意味すると言っても過言ではない。2006年以降、71人が命を奪われ、29人が襲撃されている。1万7000人とされる同国のアルビノの多くは政府の保護下にあるが、ほとんどは緊急避難の施設であり、今後の見通しは誰にもわからない。

アルビノのルーツは東アフリカのこの国と考えられ、現在、国民の1400人に1人という高率だ(世界平均は2万人に1人)。しかも、不死身の幽霊である、または呪われた家庭に生まれるといった迷信が拡散している。だが最も恐ろしいのは、幸運のお守りや薬の材料にする目的で殺害、遺体を切断し、呪術医に売るケースが後を絶たないことだ。手足4本と耳、舌、鼻、性器が“一式”とされ、7万5000ドル(約680万円)の値が付く場合もあるという。 

 タンザニアのアルビノたちが直面するもう1つの恐怖は性的暴行だ。主に北西部の人里離れた地域などで、アルビノの少女が男に襲われる事件が頻発している。アルビノとの性交渉で、エイズ(後天性免疫不全症候群)が治るというデマが信じられているのだ。犠牲者の正確な数は不明。社会的な烙印(らくいん)を押されるため、被害を名乗り出る犠牲者は少ない。2007年の推計によると、同国ではおよそ140万人がエイズを発症するHIVに感染している。 

 アルビノの殺害や襲撃の横行により、多くの家族が崩壊を余儀なくされている。センターに保護された子どもの中には、二度と両親に会えなくなったケースも珍しくない。また、白人男性と関係を持ったと疑う夫に捨てられ、母親が1人で育てる場合もある。思いあまって一部の患者は、一番の理解者、つまり同じアルビノとの結婚を選ぶ。しかし、両親が共に抱えた遺伝子疾患は、生まれてくる子どもに引き継がれる確率が高まってしまう。

 タンザニア政府は、アルビノ患者の殺害を止めようと公衆の啓発に取り組んでいるが、闇市場ではいまだに身体が高値で売買されているのが現状だ。“アルビノ狩り”はブルンジ、ケニア、スワジランドなど、アフリカ各地に広がり、タンザニアに運ばれるケースも多いという。 








ナイフで自衛、タンザニアのアルビノ

タンザニア北西部、キボンド県のネンゴ(Nengo)村に暮らすマジャブ・ボアズ(Maajabu Boaz)君(20歳)。「マジャブ」はスワヒリ語で「驚異」や「奇跡」を意味する。ネンゴ村ではアルビノ(先天性白皮症)の子どもを狙う襲撃事件が頻発しているが、保護施設への入所を拒否して村に残った。外出時には自衛の短刀を携行しており、その噂が広まったおかげで被害を免れているという。

 国際赤十字赤新月社連盟によると、東アフリカのアルビノ患者は、少なくとも1万人が移住を余儀なくされたり、人目を避けた生活を送っている。殺されたアルビノの骨や体毛、皮膚から薬などを調合する呪術医は、数万ドル(数百万円)もの収入を得ているという。 










安息の地、タンザニアのアルビノ

タンザニア西部、カバンガ保護センター(Kabanga Protectorate Center)で保護されている、アルビノ(先天性白皮症)の子どもたち。ベッドは定員を大幅に超過しているが、子どもたちにとって蚊帳の下は数少ない安息の場だ。全寮制の学校と様相を異にするのは、アルビノの身体を狙うギャングや呪術医を防ぐ高く厚い塀。あくまで緊急避難の施設で、今後の見通しは誰にもわからない。









レイプの標的に、タンザニアのアルビノ

タンザニア西部、カバンガ保護センター(Kabanga Protectorate Center)の敷地内を元気いっぱいに走るフェリスタ・ダウディ(Ferista Daudi)ちゃん(右)。まだ2歳の幼子が生まれ故郷の村を離れることになったのは、アルビノ(先天性白皮症)の身体の一部を求める呪術医によって姉が殺されたためだ。

 タンザニアのアルビノたちが直面するもう1つの恐怖は、性的暴行だ。主に北西部の人里離れた地域などで、アルビノの少女が男に襲われる事件が頻発している。アルビノとの性交渉で、エイズ(後天性免疫不全症候群)が治るというデマが信じられているのだ。犠牲者の正確な数は不明。社会的な烙印(らくいん)を押されるため、被害を名乗り出る犠牲者は少ない。2007年の推計によると、同国ではおよそ140万人がエイズを発症するHIVに感染している。 










進まない対策、タンザニアのアルビノ

娘のジェシカちゃんに面会するため、カバンガ保護センター(Kabanga Protectorate Center)を訪れたヘレン・セカリマ(Helen Sekalima)さん。子ども9人のうち3人がアルビノ(先天性白皮症)という。「村の人々からは、この子たちは普通ではない、まるで悪魔のようだと言われます」。

 タンザニア政府は、アルビノ患者の殺害を止めようと公衆の啓発に取り組んでいるが、闇市場ではいまだに身体が高値で売買されているのが現状だ。“アルビノ狩り”はブルンジ、ケニア、スワジランドなど、アフリカ各地にも広がっている。 








家族の崩壊、タンザニアのアルビノ

カバンガ保護センター(Kabanga Protectorate Center)で、ライトネス・フィルバート(Lightness Philbert)さんが愛おしそうに背負う生後3カ月のジェシカちゃん。村人たちの脅しを受け、ジェシカちゃんは母親のヘレン・セカリマ(Helen Sekalima)さんと避難してきた。兄も自宅で暴力を受け、保護センターで暮らしている。父親は息子を守ろうとして負傷し、片腕が不自由になった。

 タンザニアではアルビノの殺害や襲撃が横行し、多くの家族が崩壊を余儀なくされている。センターに保護された子どもの中には、フィルバートさんのように二度と両親に会えなくなったケースも珍しくない。また、白人男性と関係を持ったと疑う夫に捨てられ、母親が1人で育てる場合もある。思いあまって一部の患者は一番の理解者、つまり同じアルビノとの結婚を選ぶ。しかし、両親が共に抱えた遺伝子疾患は、生まれてくる子どもに引き継がれる確率が高まってしまう。 



















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