非ムスリム女性の入国が厳しいサウジは未知の地。
サウジアラビア王国について
ちょっと、調べてみた。
王様が統治している国です。
首都:リヤド
キングサウド大学はこの町にあります。
国土:1,960,582km2
日本の5.2倍もある広い国です。国土は砂漠に覆われており、かつてあったオアシスの湧き水も使いすぎによってほとんどが枯れてしまいました。今、内陸部で使われている水は、浄化した海水をパイプラインで引いてきたものです。人口増加に伴う水不足は深刻です。日本はサウジアラビアに海水淡水化の技術協力を行っています。
人口:25,795,938人(2004)
人口の40%以上が25歳以下の若年層だといわれています。日本の少子化、人口減少とは逆に、急激な人口増加が問題になっています。
公用語:アラビア語
英語などと逆で、右から左に書く言語です。文法がとても複雑だといわれています。アラビア語はサウジアラビア以外に、アラビア半島の諸国やエジプト、モロッコなどでも話されています。
経済:
東部の湾岸で採掘した原油や石油製品の輸出で大幅な貿易黒字を保っています。しかし、急激な人口増加から国民一人当たりのGDPは他の湾岸諸国より低くなってしまいました。サウジアラビア=お金持ちの国というイメージを持たれがちですが、それももう過去のものとなりつつあります。
サウジアラビア人の生活:
サウジアラビアの西部にはメッカとメディナという2つのイスラム教の聖地があります。サウジアラビアは預言者ムハンマドが啓示を受けて布教した地、つまりイスラム教のふるさとなのです。
サウジアラビア人はイスラム教と部族の伝統をなによりも大事にして生活しています。1日5回の礼拝時間には身を清めてからメッカの方向を向いて祈りを捧げます。
礼拝時間には商行為をしてはいけないという教えにより、24時間営業と書いてあるスーパーでさえ、礼拝時間から30分ぐらいは閉まってしまいます。レストランなども閉まってしまいますから、礼拝時間が近くなったら急いで食事を済まさなければなりません。
サウジアラビアではイスラムでしてはいけないとされていることはできません。たとえば、豚肉やお酒はどこにも売っていませんし、所持しているだけでも罪になってしまいます。他のイスラムの国では、外国人のために豚肉やお酒が売っていたりしますが、サウジアラビアはとても厳しいです。
サウジアラビア人は外出するとき、特に公の場に行くときは伝統的な衣装であるトーブ(男性)やアバヤ(女性)を着て行きます。
トーブは男性用の白いワンピースで、頭にはシュマーフと呼ばれるスカーフのような布をかぶります。
アバヤは女性が外出時に着る黒いマントのようなものなので、サウジアラビア人の女性はこれを頭からかぶり、髪の毛や顔、体の線が見えないようにします。目だけ出している女性もいますが、中には顔全体をベールで覆ってしまって、全く顔を見せない人もいます。
女性は外出時にアバヤを着ることが義務付けられていて、外国人女性であっても着ていなかったら警察に怒られてしまいます。
サウジアラビアでは集会が禁止されているため、映画館などもなく、コンサートなども行われません。サウジアラビア人の娯楽は砂漠遊びやイステラーハです。砂漠ではバギーに乗ったり、キャンプをしたりします。イステラーハというのは伝統的なテントの別荘でくつろぐ習慣で、水タバコをすったりアラビックコーヒーを飲んだりしてのんびりすごします。
サウジアラビア人と日本:
サウジアラビアはこれまで、イスラムの伝統や王政社会を守るために外国文化や外国情報の流入を厳しく規制してきました。メッカやメディナなどイスラムの聖地を訪れるイスラム教徒の巡礼者や、いわゆる3K労働を担うインド人やフィリピン人などの労働者は積極的に受け入れてきましたが、一般観光客は受け入れておらず、まさに鎖国といった状態です。日本人も公用や商用以外の入国は認められていません。ですから、リヤドに住んでいる日本人も大使館員や企業駐在員など約120名ほどしかいません。
しかしサウジアラビアもグローバリゼーションの波を受け、徐々に対外開放を始めました。それまで禁止されていたインターネットも解禁になり(検閲によってブロックされ、見られないページもありますが)、衛星放送によって外国のテレビをみることもできるようになりました。外国人観光客も徐々に受け入れを始めています。
そんな中、一般のサウジ人も日本アニメを楽しんでいますし、もちろん我が日本語プログラムの学生たちも日本のアニメが大好きです。みんなインターネットや衛星放送を駆使して日本のアニメや芸能の情報を収集しています。サウジアラビア人にとって、日本は、かつてからあるテクノロジーの国、武道の国というイメージにアニメなどのサブカルチャー大国としてのイメージも加わりつつあるようです。
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参考
http://www.desert-rose.sakura.ne.jp/Saudi%20Arabia.html
女性のパワーは…
サウジ女性って旦那さんに言いたい事も言えない、きっと世界有数の従順な女性、というイメージが音を立てて崩れたのは数年前。確かに社会的に制限が多く、私も悲惨な話はたくさん聞く。でも彼らの家庭を"覗き見"すると、お茶の間ドラマのような別の一面が浮かんで来る。ある時、サウジの男性に私が抱いてたサウジ女性のイメージを伝えると「とんでもない。ウチの奥さんは仕事も家事も(メイドがいる)せず、毎日のんびり友達とお茶ばかりしてるし、僕が稼いだお金で好きなだけ貴金属買って本当にお気楽な身分だよ。あ、僕が他の女性と話すのは禁止されてるのでゴメン、奥さんに見つからないうちに失礼するよ」だって。
そういえばマレーシアのペナンに旅行した時、空港の手荷物検査場で私の前にはサウジ人のご夫婦が並んでいたんだけど、待っている間に旦那さんが航空会社のカウンターに何かを問い合わせに行った。が、運悪くその間に彼らの重そうなカバンをX線のベルトに載せる順番が回って来てしまった。恰幅のいい奥さんは足元に置いていたカバンを面倒臭そうに足で蹴ってずらしながら「xxxx!」と旦那に向かって大声で怒鳴った。すると見事な条件反射、やせ細った旦那さんはピューっと全速力で奥さんのところに戻って来て奥さんの小言を全身で浴びながらカバンをベルトに載せた。サウジ女性、強し。
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参考
http://www.afpbb.com/article/life-culture/life/2764190/6290143
父親と男の親族だけが女性の結婚相手に関する決定権を持つサウジアラビアで今、女性たちが、この部族古来の伝統に立ち向かわんとしている。
自分で選んだ結婚相手を父親に却下され、一生独身を余儀なくされる可能性に直面した女性たちが、父親の判断を不服として裁判所に訴え出るケースがこのところ増えているのだ。そうした女性の多くは大卒で、収入のある職業婦人だ。
人権団体の調べによれば、過去6年間で訴えを起こした女性は86人に上る。うち13件は、ことしに入ってからのものだ。
■イスラムの教えと部族の伝統との相克
今年7月、メディナ(Medina)の裁判所は、同僚の外科医との結婚を「違う部族の出身者」との理由で父親が認めなかったことを不服とした女性医師(42)の訴えを却下した。裁判所は父親の言い分を正当と見なし、「違う部族の者と結婚して父親に逆らおうとしている」と女性を非難した。
「不幸なことにサウジアラビア社会には奇妙なパラドックスが存在します。わずか10歳の少女を結婚させることが可能な一方で、大人の女性たちが筋の通らない理由で結婚を妨害されているのです」と、人権団体「National Society for Human Rights」のスタッフはAFPの取材に話した。
イスラム教の教えでは、父親は、娘の結婚相手が高潔で敬虔なイスラム教徒である限りにおいては、その結婚に同意しなければならないとされている。また、前年亡くなった同国の高名なシャイフ(イスラム教の導師)であるアブドゥラ・ビン・ジブラーン(Abdullah bin Jibreen)は、「父親は娘の結婚を妨害してはならない」とのファトワ(宗教令)を出していた。
だが、シャリーア(イスラム法)とともに極めて保守的な部族の伝統も重んじるサウジでは、娘が結婚するまでの間、父親が娘に対し絶対的な支配権を握ることが容認されている。そのため、政府や裁判所でさえ、女性が父親(父親が死去した場合は兄弟かおじ)の許可なく結婚することを認めていないのが実情だ。
■父親が結婚を認めない理由
希望の相手との結婚が却下される理由で最も多いのは、「同じ部族の出身者ではない」というもの。サウジアラビア王国の中核は部族社会であり、国を左右する政治権力や経済力も部族が基本となっているという背景がある。反面、これを理由に娘の結婚を反対する父親自身は、違う部族の女性と結婚している、という例もある。
幼くして既にいいなづけ(大抵はいとこ)が決められていたり、姉がまだ未婚だとか、娘の社会福祉給付金を父親があてにしているなどの理由で、結婚を許されない場合もある。
AFPの取材に対しある大学教授(39)は、「お前にふさわしい相手など1人もいない」と父親から言われ、結婚相手をことごとく却下されてきたと語った。30歳を過ぎても結婚を許されず、父親とこのことについて直接話をしようとすれば脅され、部屋に閉じ込められたという。
別の女性は、女性の年齢が35歳を超えたら父親や保護者の男性は結婚を認めるよう、国家が法で定めるべきだと話した。
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参考:外務省情報
http://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/medi/nm_east/saudi.html
衛生・医療事情一般
サウジアラビアはアラビア半島のほぼ80%を占めるイスラム教国家で、国土の大半は砂漠や土漠です。世界最大の産油国として知られており、公的機関以外の労働力の大半を外国人労働者に依存しています。
首都リヤドのある内陸部は典型的な大陸性砂漠気候で、一年を通し乾燥しており、夏は連日45度を越す厳しい暑さが続きます。この間は夜でも気温は40度を超えます。また、冬には気温の日較差が大きく、コートや暖房が必要となります。これに対してジッダ(紅海沿い)やコバール(ペルシャ湾沿い)などの沿岸地域は高温多湿で、夏はサウナの中で生活しているようです。
これに加えて,イスラム教の中でも特に戒律の厳しいワッハーブ派の教団国家なので,アルコール・豚肉は禁止、歌舞音楽が制限され,特に女性の行動は大きく制限されています。通称ムタワ(勧善懲悪委員会)と呼ばれる宗教警察から服装などの注意を受けることがあります。これは外国人にも適応されるので,殆どの日本人にとっては精神的に大きな負担となっています。長期滞在者は国外での休養を積極的に取る必要があります。
サウジアラビア人向けとして,たくさんのプライマリー・ヘルス・クリニック(PHC:診療所および保健所機能)があります。各地域の国立基幹病院も整備されています。必要な場合には,主要都市にある王立病院、専門治療施設を受診するシステムになっています。国公立病院では,サウジ人の医療費は原則無料で,通常は外国人の診療は行っていません。ただし、交通事故などの緊急時は,診察を受け付けてくれる場合があります。王立病院など高い技術や設備を有している病院では,民間病院より重症患者に対する高度な治療が可能です。
外国人向けとしては、富裕サウジ人および外国人を対象とした近代的な私立病院があります。医療スタッフのほとんどが外国人であり,医師の多くが欧米での医学研修を受けているので、英語での受診が可能です。日本語で受診できる医療機関はありません。
ただし、受診の仕方が日本とは異なります。現金・クレジットカード・当地の銀行発行デービットカードなどで医療費を支払います。サウジアラビアの私立病院は日本のように医療費が一律ではなく、かかる費用も病院によって違います。日本のような健康保険制度(3割負担)はありませんので,海外旅行傷害保険に加入しておくことが勧められます。
ただし,先進国のような海外旅行傷害保険キャッシュレスサービスは普及していません。一方,診察費が200~300SRほどで,欧米先進国と比べると高額ではありません。日本に比べて検査費用が高額のようです。
ER(救急)受診以外一般外来は,事前に予約をとる必要があります。予約の際は受診希望の医師を尋ねられます。指定医師がない場合は,希望する受診科を告げれば適当にふりわけてもらえます。
初診の場合、まずカルテを作る必要があります。「Registration」とある窓口か、外来「Outpatient Clinic」の受付に行って初診である旨を告げた後、必要な手続きを取ります。この際、イカーマあるいはパスポートの提示を求められることがあります。また、先に初診料を納める必要があります。
目的の診療科の受付に行き、診察券を提示し、予約した医師の名を告げます。すると支払いの方法を尋ねられますので、保険で払うか、現金またはカードで払うかを告げます。待合室が男女別になっている病院もあります。お祈りの時間でも,受付や診察が中断されることはありません。
診察の後、支払窓口で精算します。検査の指示があるとその検査代も支払います。ただし,検査前に料金を支払うケースがほとんどです。次の来院が必要な場合は,予約をここで取ります。
薬は比較的簡単に入手できます。処方箋を薬局に提示して薬を購入します。市内にたくさん薬局があり,欧米系の薬が揃っています。大抵は各病院に付属の薬局がありますが、院外の薬局でも購入出来ます。また,薬品費は基本的に統一料金です。
入院の場合,室料は一泊500~700SR前後です。血液検査(白血球/貧血/肝機能/腎機能/血糖など)費用が1回に1,500~2,000SR程度請求されます。原則として、手術入院のデポジット(前払い)は10,000SR~60,000SR以上、急性胃腸炎や検査入院でも3,000SR程度の前払いを要求されることがあります。
緊急の場合は,最寄りの病院の救急外来(ER:emergency room)へ直接行きます。ただし、電話を入れておけば対応が早いです。
救急車(電話:997)は,欧米製で医療器具の充実したものが配備されています。しかし,需要に追いつかず1-2時間待たされたケースがあります。
規模の大きなコンパウンドでは、独自のクリニックを持っているところがあります。開いている時間が短いのが難点ですが、女性にとっては普段着で気軽に行けるのが最大の利点といえます。
水道水は,主に海水を淡水化処理したものです。硬水でカルシウム含有量も多いので、慣れない人は下痢をおこすかもしれません。飲み水は、水道水でなくミネラルウオーターを使用することをお勧めします。食中毒は日常的に発生していて,症状の強さや原因菌によっては医療機関受診が必要になります。安い飲食店では,溜めた水で食器を洗っていますので注意が必要です。
5.かかり易い病気・怪我
(1)交通事故
道路はたくさんの自動車が時速120キロメートル以上で、ウインカーを使わずに縦横無尽に走っています。交通事故は日常茶飯事です。
(2)乾燥による障害
リヤドなどの内陸部では湿度が5%以下となり,皮膚や粘膜の障害が発生します。
1)頭髪の障害:乾燥による枝毛,脱毛が増えます。
2)皮膚の障害:皮膚の乾燥や角化,かゆみ,皮膚炎とともに,強い日差しによる日焼けがおこります。また,枝毛や脱毛が増え,爪も割れやすくなります。日焼け止めクリーム、乾燥防止のためのクリーム、乳液などを使用し予防に心がけましょう。
3)口腔粘膜の傷害:口内炎、口臭の悪化など起こしやすくなります。
4)鼻粘膜の傷害:乾燥および細かい砂塵のため炎症が起こりやすい状態にあります(慢性鼻炎)。外出後のうがい、マスクなどによる防御に心がけ、家での加湿器の使用も勧められます。鼻出血の原因にもなります。
5)角膜の傷害:コンタクトレンズの装着は、当地内陸部においては眼球が乾燥しやすく、砂塵が入り不潔になりやすいので十分な注意が必要です。角膜潰瘍になっても自覚症状の出ない場合もあり、できれば眼鏡使用が無難です。やむを得ず装着する際は点眼薬を常備して下さい。
(3)熱中症
長時間の野外滞在や運動により発症します。水分、塩分を十分摂るとともに炎天下での単独行動はさけてください。スポーツドリンクの準備が必要です。
(4)上気道炎
サウジアラビアでも風邪にかかることはまれではありません。夏は冷房、冬は寒暖の差、砂塵などが原因と思われます。日頃から予防に気をつけてください。
(5)季節性インフルエンザ
冬の時期に流行します。9月から12月までの間に予防接種を受けられることをお勧めします。
(6)鳥インフルエンザ
サウジアラビアや周辺国でも、発生が報告されています。
1)外出後の手洗い、うがいなどの励行、人混みを避けます。
2) a)清潔を保つ・・手洗い、台所を清潔にします。
b)生肉と調理済みの料理が混ざらないようにします。
c)じゅうぶんに加熱調理します。70度以上でウイルスは死滅すると言われています。
3)生きた鶏を扱っている市場、養鶏場などには近づかないようにしましょう。
4)死んでいる鳥には手を触れないようにしましょう。
*サウジアラビアで比較的多く見られる水・食べ物から感染する病気
(7)食中毒
多発しているので衛生的でないレストランや生ものに注意します。小児は脱水に陥り易いので、水分補給(スポーツドリンクなど)を十分に行うよう心がけてください。重症の場合は病院を受診してください。特にサルモネラによる食中毒が,サウジアラビア国内で広く年間を通じて発生しています。リヤド、ジッダ、東部州(ダンマン・コバール)の都市部でもたくさん報告されています。潜伏期間は半日から2日で、生卵や鶏肉などから経口感染します。主な症状は腹痛、発熱、嘔吐、下痢です。
(8)赤痢アメーバ症
汚染された食品や水を介して感染します。潜伏期間は数日から数ヶ月で、主な症状は粘血便をともなう腸炎です。特にジッダで多発しています。不十分な治療で持続感染(保菌者)や肝膿瘍をおこすことがあります。
(9)腸チフス
経口感染で邦人発生も見られます。高熱,頭痛,便秘(あるいは下痢,血便)などの症状をおこします。予防はワクチンで治療は抗生剤を使います。
(10)A型肝炎
食事などからの経口感染症で,発熱や悪心,嘔吐、下痢、腹痛、黄疸などの症状を呈します。ワクチン接種を薦めています。
(11)ブルセラ症
リヤドを含めた内陸地方と南部のアシール州で多く見られます。加熱処理が不十分な羊やラクダの乳製品に気をつけましょう。特異的な症状はなく、全身倦怠感、発熱、発汗で発症し、体重減少、関節痛、間歇的な発熱が続きます。抗生物質で治療します。
*サウジアラビアで比較的多く見られる蚊などで媒介される病気
(12)リーシュマニア症
サシチョウバエ(サンドフライ)の吸血により,原虫が侵入します。皮膚に潰瘍を作る皮膚リーシュマニアがほとんどですが、病変が内臓にまで及び、死に至る可能性のある内臓型リーシュマニア発生の報告もあります。首都リヤドを含む北東部砂漠地帯は流行地域とされています。
(13)マラリア
国内発生はほとんどがジザンを中心として、サウジアラビア南西部、イエメン国境近くの紅海沿岸地帯で集中して発生しています。一方、輸入マラリア患者数は多く、都市部でも輸入症例を中心に患者治療が行われています。ハマダラカという蚊に刺されることにより感染します。雨の多い冬季に多発します。服装やスプレーなどで蚊への対策を万全にすれば、予防内服は必要ないでしょう。
(14)デング熱
ジッダ地方で毎年流行が見られます。ネッタイシマカ、ヒトスジシマカによって媒介される病気です。潜伏期間は約1週間で、症状は発熱、筋肉・関節痛、発疹です。デング出血熱は重症型で死に至ることもあります。予防接種はありません。蚊に刺されないことが重要です。
(15)リフトバレー熱
感染家畜との接触や蚊の媒介などによるウイルス感染症です。発熱などのインフルエンザ様症状をおこし,数%が重症化します。
*その他
(16)B型肝
カミソリなど洗面道具・性行為・汚染された医療器具や輸血などで感染します。全身倦怠感・嘔吐・黄疸をおこし,ときに重症化することもあります。ワクチン接種を薦めています。
(17)結核
当地の呼吸器科医師によると注意すべき疾患に入っています。
(18)髄膜炎菌性髄膜炎
髄膜炎菌による感染症で,潜伏期間は3-4日です。軽度な風邪様症状から痙攣、意識障害などの重篤な症状まで多彩です。アフリカの流行地から巡礼者が大勢訪れるハッジ(大巡礼)期間中は、注意が必要です。ジッダに長期滞在される方は,予防接種を受けられた方が安全です。抗生物質で治療します。
(19)ビルハルツ住血吸虫症
南部地域を中心に感染例が報告されています。川や湖で水浴び中に,皮膚より侵入します。潜伏期間は4-12週間で,症状は血尿、放置すると膀胱壁を傷め様々な病気の原因となります。抗寄生虫剤で治療します。
(20)神経症、抑うつ状態
厳しい気候や生活制限から,神経症やうつ状態に陥りやすい環境にあります。頭痛・肩こり・めまい・動悸・食欲低下・胃痛・下痢などの身体症状に、いらいら・気分の落ち込み・涙もろくなった・怒りやすくなったなどを伴う場合が黄色信号です。
6.健康上心がける事
(1)高温・乾燥に対する対策は常に必要です。リヤドなどの内陸地方では、乾燥のため皮膚、鼻・口腔粘膜、角膜などに傷害が起きやすい状態にあります、また思ったよりも大量に発汗しています。こまめな水分補給は習慣とすべきでしょう。
一方海岸地方は高温多湿のため、特に熱中症に注意が必要です。水分補給、室温管理は大切なことです。尚、夏場には冷房が常時必要ですが、就寝時には体温調節機能が落ちるので、できれば寝室の冷房は切って、隣の部屋や、廊下の冷房を利用することをお勧めします。(間接冷房)
(2)蚊などの昆虫への対策はした方がいいでしょう。当地には意外と蚊やハエをはじめとする羽虫がたくさんいます。その中にはサンドフライという小さな蚊のような羽虫が混じっている可能性があります。この虫はリーシュマニア原虫を媒介するので特に注意が必要です。また砂漠で遊ばれる場合は、サソリや蛇に咬まれないように長袖、長ズボン、靴を着用し、岩場、ブッシュなどでは気をつけましょう。サウジアラビアではサソリ咬症の死亡例はありません。
(3)水道水は飲用可能の基準を満たしていますが、硬水でカルシウム含有量も多いので、慣れない人は下痢をおこすかもしれません。浄水器を通すか、ミネラルウオーターを使用することをお勧めします。
(4)しばしば生じる砂嵐では、その粒が細かいことに驚かされます。パウダー状の砂は無意識のうちに吸い込んでしまうため、喉を痛めてしまいます。また、アレルゲンとなりうるので、鼻炎等を併発することもあります。ガーゼマスクなどで防御することが必要でしょう。
(5)強烈な紫外線に油断してはいけません。皮膚の老化、白内障の進行を早めますので肌の露出を少なくし、日焼け止め(SPF15以上)を塗り、サングラスを着用しましょう。
(6)髄膜炎菌性髄膜炎については、巡礼者の大勢集まる場所に行くのを避ける等の注意はした方がいいでしょう。
(7)サウジアラビアの道路は広いですが、それを埋め尽くすほどの自動車が時速120キロメートル以上で、ウインカーを使わずに縦横無尽に走り回っています。交通事故は日常茶飯事で、死亡事故の確率も日本より多いので細心の注意が必要です。
(8)サウジアラビアの生活がストレスに感じたら、なるべく頻回に国外に出る機会を作りましょう。特に女性にとってこれは大事なことです。
サウジアラビアに関わらず異境の地での生活、仕事は心に大きな負担がかかります。神経症、抑うつ状態に陥りやすい状態にありますので、注意が必要です。
(9)鳥インフルエンザ
サウジアラビアでも2006年より毎年鳥インフルエンザの流行が見られます。特に2008年から2009年の冬に発生した流行は大規模なものでしたので、一般的な注意が必要です。流行情報には常に関心を持つようにしてください。
7.予防接種(現地のワクチン接種医療機関等についてはこちら(PDF))
(1)赴任時必要な予防接種
サウジアラビア入国に接種が必要なワクチンはありません。但し、当地の疾患の流行状況を考えると、以下の予防接種はすましておくことが望ましいです。なお当地でも接種可能です。
A型肝炎 肝炎が多いので抗体のない人は必須。数年間有効。
B型肝炎 肝炎が多いので抗体のない人は必須。数年間有効。
破傷風 アウトドアあるいは新生児破傷風の予防に必要。5年以上有効。
髄膜炎 たくさんの巡礼者により持ち込まれる危険性があります。特にジェッダ在留者で空港に頻繁に出入りする方は接種しておきましょう。3~5年間有効。
黄熱病 アフリカに渡航する場合必要。10年間有効。出発の10日前までに接種します。
上記ワクチンは,日本国内でも接種可能です。
国際空港内のクリニック(各電話番号8.参照)では,黄熱病や巡礼者に対して髄膜菌性髄膜炎などの予防接種が実施されています。しかし,在庫の関係や接種施設の変更もあり,常時準備されているとは限りません。
最後まで読んでくれてありがと~~~♪
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