2012年2月11日土曜日

アリババと40人の盗賊(4)

アリババと40人の盗賊(4)

すべてはとうぞくの首領がもくろんだとおりになりました。 その夜、アリババは首領を家に泊めることにし、馬の背から壷を下ろす手伝いをして、こう言いました。
「もう夕飯の準備ができていますから、どうぞ、中にお入りなさい。」

 首領は自分の好物を飲み食いしおわると、言いました。
「わたしは向こうに行って、馬に水を飲ませなければなりません。」

 納屋の中で、かれは壷のひとつひとつをめぐり、中にかくれている手下に話しかけて、こう言いました。
「もし、窓からおれが小鳥のさえずりのような口笛をふくのが聞こえたら、壷から出て来るのだ。その時おれは部屋から降り、ここに来て、おまえたちがやるべきことを言おう。」
 そして、そっと納屋を出て、家の中にもどりました。

 その夜、マルジャーナが明かりに火をつけようとすると、ランプの油が切れていて火はすぐに消えてしまい、部屋は真っ暗になりました。それでかの女はどうしたら良いか分からず、ひとりごとを言いました。
「明日の朝、余分に油を買わなければいけない。今晩は、あの壷から、今夜使う分だけ少し油をもらってもかまわないかしらね。」

 こうして、一番手前の壷の方に向かうと、壷の中にかくれていた男がこうつぶやきました。「時間ですか?」かれは首領が来たと思ったのです。
 マルジャーナはおびえて飛び上がりましたが、それでも自分をおさえ、低い声でこう言いました。
「いやいや、まだだ。もう少し待て。」

 それから二番目、三番目……と次々と壷の方へ向かうたびに、かくれている男たちが「時間ですか。」とつぶやくので、マルジャーナは「いやいや、まだだ。もう少し待て。」と答えました。

最後の壷の中には油が入っていたので、かの女はその油でランプを満たしました。
 それからある考えを思いついたので、じゅうぶんに油をとり、それを火の上で熱しました。
 そして壷へと向かって行き、熱した油をその一つ一つに流し込んだのです。
 こうして、とうぞくたちは最期(さいご)をむかえたのでした。
 とうぞくの首領が夜のやみの中を部屋から降りてくると、手下はみなすでにこの世に別れを告げていました。それでかれはとてもおどろき、急いで馬の背に飛び乗って、にげて行きました。

 翌朝、マルジャーナはアリババにすべてのいきさつを知らせました。またその時、白や赤の印の話も忘れずに伝えました。アリババはかの女がしたことに感謝し、その行いを決して忘れない、と言いました。それから、家の使用人たちに命じて森に大きな穴をほらせ、その夜、とうぞくたちの死体をその穴の中にうめました。

 その後、とうぞくの首領は自分がひとりになったことをさとり、こう言いました。
「大きな店を買って、どうくつの絹織物や宝石をみなそこに置くことにしよう。そうすればそれを売って、これからは安楽に暮らせるだろう。」
 かれはその考えを実行し、店を買いました。すると、通りかかる人たちはみな、「なんとすばらしい店なのだろう!」と言いました。

 ある日、アリババの息子(むすこ)はとうぞくの首領に会いました。二人の店はとなりどうしだったのです。そこでアリババは、自分の家に夕飯を食べにくるようにかれを家に招きました。
 かれはもう首領の顔を覚えておらず、以前かれに会ったことも思い出せなかったのです。しかし、マルジャーナはかれが家に入ってくるのを見て疑(うたが)いを持ち、ひとりごとを言いました。
「あの男は、確か前にここに立ち寄ったことがある。かれはわたしたちに悪事をたくらんでいるようだわ。かれとかれの悪事からここを守らなければ。」

 そこで、アリババのところに行って言いました。
「夕食が終わった後で、みなさんにおどりを披露してもよろしいですか?」
 アリババはその考えを喜びました。そして食事が終わるのを待って、マルジャーナはかれらの部屋に入って行き、すばらしいおどりを披露しました。

 やがておどり終わると、かの女はその中にお金を入れてもらおうと、手にコップをもってそこにいる人々のところをめぐりました。
 アリババはコップの中にいくらかのお金を入れ、かれの息子も同じようにしました。
 そして、マルジャーナが首領の方にかがみこむと、かれはコップの方に手をのばし、その中にお金を投げこみました。その時マルジャーナには、かれの服の中にある短剣が見えたのです。

するとマルジャーナはいなずまのような速さで首領に突進し、かれから短剣を奪い取って、かれの胸につきさしました。それでかれはすぐにこの世を去りました。

それを見てアリババは飛び上がり、さけびました。
「マルジャーナ! 何をするのだ?!」
 すると、かの女はこう言いました。
「もしわたしがこうしなければ、この男はお二人を殺したことでしょう。かれこそ、油の壷を持って来て、以前ここに泊まったとうぞくの首領なのです。ご主人様、覚えていらっしゃいますか?」

 そしてアリババは、マルジャーナがしたことが正しかったと知り、こう言いました。
「おまえは何というすばらしい娘なのだ。わたしは本当におまえのことが気に入った。息子がおまえといっしょになってくれるなら、こんな幸せなことはない!」

 こうして、マルジャーナはアリババの息子と結婚(けっこん)しました。首領の財宝も店も、アリババと家族のものになりました。しかしアリババはそのお金のほとんどを、貧しい人や困っている人に分けあたえました。そしてそれからみなは楽しく、幸福に、そして裕福に暮らしたのでした。






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