昔々、シャハラヤールという王さまに、かれの妻(つま)のシャハラザードは、一晩(ひとばん)に一つずつ物語を聞かせました。
シャハラザードの話は王を魅了し、夜が明けても、まだ話は終わらず、その次の夜も、またその次の夜も王は、シャハラザードの物語を楽しみました。
そうやってシャハラザードが語った物語というのが、「千夜一夜物語(アラビアン・ナイト)」です。
アリババと40人の盗賊(1)
昔々、二人のわかい兄弟がおりました。兄の名はカ-スィム、弟の名はアリババと言いました。やがて兄弟は大人になり、カ-スィムは金持ちの女性と、そしてアリババは少しもお金を持っていない貧しい女性と結婚しました。アリババと妻はとても小さな家に住み、その手元にはやっと生きていけるだけの、わずかな食べ物と飲み物しかありませんでした。
アリババは毎日薪をとりに森に行き、集めた薪を3頭のやせたロバの背にのせて持ち帰り、町の通りを大声あげて売り歩きました。そうすると女たちがみな家から出てきてその薪を買うのでした。
アリババはこんなぐあいに暮らしを立てていました。アリババと妻は貧しい暮らしをし、その生活にはぜいたくのかけらもありませんでした。くる日もくる日も、かれは妻と息子のためにじゅうぶんなお金をかせぐことができないでいました。
ある日、アリババが薪を切っていると、馬に乗った男たちの集団がこちらへ向かってやって来るのが見え、とてもおどろきました。その男たちは、決して歓迎できるような様相ではなかったのです。そこでアリババはやせロバたちの耳にささやきました。
「かれらがわたしに気がつかないといいのだが。おそらくかれらはわたしから薪を取り上げるだろう。おまえたちはここからはなれてかくれていなさい。わたしもこの木に登ってかくれることにしよう。かれらが行ってしまってから、おまえたちを呼んでやるから。」
こうしてアリババは木によじ登り、馬にまたがってかけてくる男たちをひそかに見つめていました。すると、とつぜん、かれらの先頭の者がさけびました。
「止まれ! 目指すはここだ……この丘の上だ!」
この呼びかけを聞くと、馬に乗っていた者はみな馬の背(せ)から飛び降りました。
その時アリババは、それらの馬の一頭一頭に大きなふくろが積まれているのに気がつきました。それから男たちはふくろを馬の背から降ろし、各自、ふくろを背負(せお)って運びだしました。
馬たちはその場からはなれた場所に連れて行かれました。そして男たちは荷物を背負って丘を登り、とうとう、アリババが枝(えだ)の間に身をかくしている木のそばの、大きな岩のところまでやって来ました。アリババがそっと男たちを数えてみると、その数は全部で40人でした。
男たちは目の前に立ちふさがる大きな岩を取り囲みました。そしてかれらの一人が「開けゴマ!」とさけぶと、すぐにその岩のとびらが開いたのです。さけんだその男が最初に中に入り、それから残りの者たちがその後について行くのが見えました。そして最後の男が入るとすぐに、開いていたとびらが閉(し)まり、元にもどりました。
そこでアリババは小さな声でつぶやきました。
「なんとかすぐ家に帰りたいものだ。でも今にもかれらが出てきて、わたしを見つけるかもしれない。だからもう少しだけここにいることにしよう。」
かれはそのまま枝の間にかくれて様子を見ることにし、またひとりごとを言いました。
「でも、どうして今まであのとびらに気がつかなかったのだろう? あれを開いたのはいったい、だれだろう?あのとびらは、どうくつへの入り口なのだろうか? なぜ、男たちはあれらのふくろを中に運んだのだろう? とても大きなふくろだったけど、あの中には何が入っているのだろうか? お金でいっぱいなのだろうか? あの男たちはとうぞく団なのだろうか? もしそうだとしたら、今下りるのは危険すぎる。かれらはあれから中に入ったままだけれど、いったい、いつ出てくるのだろう?」
アリババがこのように思いにふけっていると、やがて男たちが出てきました。 しかし、かれらは先ほど持っていたふくろを一つも持っていません。そして、男たちがみな外に出ると、かれらの首領が「閉じよゴマ!」とさけびました。すると、すぐに岩のとびらは閉じたのです。それから男たちは馬の方へ行き、その背に飛び乗ると、急いで帰って行きました。
アリババは木から急いで降(お)りて岩にかけより、あの男がしたように「開けゴマ!」とさけんでみました。すると、とびらが開き、中をのぞくと深いどうくつが見えました。そしてそこにはとうぞくが積み上げていったふくろが見えたのです。
しかし、おどろいたことに、そのどうくつの中にはそれらのふくろだけではなく、そのほかにもたくさんのものがありました。金や銀、宝石、高価な絹の衣しょうなどなど……。
そこでアリババはこうつぶやきました。
「ぼやぼやしてはいられない。男たちが帰ってきて、わたしがここにいるのが見つかったら、きっと殺されてしまうだろう。急いでどうくつのすみずみまで行って、すべての品物を調べてみよう。」
かれはどうくつの中をあちこち回り、男たちのふくろを開けて調べました。すると、どのふくろもお金でいっぱいだったのです。
アリババは、すぐにお金の入った一番大きなふくろをとびらの方へと引きずって行きました。かれがどうくつに入った後でとびらは閉(し)まっていたのですが、もう一度「開けゴマ!」とさけぶとすぐに開いたので、かれは急いで外に出ました。それから、「閉じよゴマ!」と言うと、とびらは閉まりました。
アリババはかれの3頭のロバを見つけるのに、たいして苦労しませんでした。
そのあわれなものたちは近くの木の間で、かれをじっと待っていました。アリババは、すぐにその背(せ)にふくろをのせ、薪(まき)でそれをおおいました。こうしてふくろを人目からかくしたので、だれもそれに気づくことはなかったのです。そしてアリババはそれから無事家路についたのでした。
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